【7月21日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が、米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領にウクライナ問題解決の具体案を提示していたことが明らかになった。プーチン大統領がウクライナ東部での住民投票の実施を示唆したとの報道が出た後、ロシアのアナトリー・アントノフ(Anatoly Antonov)駐米大使が20日、明らかにした。

 アントノフ大使は、モスクワで開催された専門家や記者との会合では詳細に関する言及を避けた。

 アントノフ氏のコメントに先立ち、米ブルームバーグ・ニュース(Bloomberg News)は19日、プーチン大統領がフィンランドの首都ヘルシンキで開催された米ロ首脳会談で、親ロシア派が支配するウクライナ東部ドネツク(Donetsk)とルガンスク(Lugansk)における住民投票の実施を求めたと報道。プーチン大統領が同日開催したロシア外交官らとの密室会談の参加者とされる人物の発言を引用し、トランプ大統領はプーチン大統領に対し、考える時間が欲しいので、住民投票案を発表するのは待ってほしいと頼んだと伝えた。

 しかしアントノフ大使は、プーチン・トランプ両大統領はヘルシンキでの首脳会談では一切密約を結んでいないと主張している。

 一方、米国務省のヘザー・ナウアート(Heather Nauert)報道官はツイッター(Twitter)に、「トランプ政権としては、ウクライナ東部における住民投票を支持することは考えていないことを明らかにしておきたい。『住民投票』は無効である。ウクライナのドンバス(Donbas)地方の紛争解決に向けて、わが国は引き続きミンスク合意を支持していく」と投稿した。

 欧米諸国がさまざまな危機をめぐって対立する中で半ば忘れられているウクライナ紛争では、これまでに1万人以上が死亡し、今も毎日のように親ロ派とウクライナ軍が戦闘を繰り広げている。

 ミンスク合意は2015年、フランスやドイツの仲介でウクライナ政府と同国内の親ロシア派の間で結ばれた停戦合意を指すが、ほとんど順守されておらず、和平プロセスは実質的に頓挫している。(c)AFP/Anna SMOLCHENKO