【7月20日 AFP】米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)政権は19日、制定から45年を迎えた連邦法「絶滅の危機に瀕(ひん)する種の保存に関する法律(Endangered Species Act)」(種の保存法)の全面改定を提案した。絶滅の恐れのある動物の保護が後退する恐れがあるとして、環境保護団体が警鐘を鳴らしている。

1973年に制定された「種の保存法」は、国際的な環境保護の基準とみなされており、ハクトウワシやマナティー、ザトウクジラ、アメリカアリゲーター(ミシシッピワニ)など十数種の貴重な生物を絶滅から救ったとして定評がある。

 米商務省がこのほど発表した改定箇所の一つは、動物保護について決定する際に経済的影響を切り離して判断するとした条文を削除するもの。また、「絶滅危惧種(endangered species)」と同様の保護を「絶滅の恐れのある種(threatened species)」にも自動的に適用すると定めた条項の削除も提言している。

 米魚類野生生物局(US Fish and Wildlife Service)は、この改定案について「絶滅の恐れのある種として現在リストに掲載されている種の保護に影響はない。むしろ、こうした種が将来それぞれの必要性に応じた保護を受けられるよう保証するものだ」との声明を発表した。

 改定案は60日間のパブリックコメント(意見公募手続)期間を経て、年末にも立法化される見通し。

 環境保護活動家は改定に強く反対している。「野生動物保護協会(Wildlife Conservation Society)」のジョン・カルベリ(John Calvelli)副会長は、「効果的な管理の前に障壁を設置し、不要なお役所仕事を作って『種の保存法』を無力化する露骨な試みだ。結局は、絶滅の恐れのある種をより危機的な状況に陥れることになる」と批判した。(c)AFP