■自分で火を起こせることの重要性

 AFPの取材に電子メールで答えたソレンセン氏は、「石器に確認される痕跡は、不連続な範囲に生じており、筋状の痕がほぼ常に石器の長軸と平行になるような方向に刻まれている。このひっかき傷が自然にできたものとすると、両面石器の表面全体にわたって生じ、方向もランダムになっているはずだと考えられる」と説明した。

「火起こしの跡は、肉眼ではC字型の打痕の集まりのように見える。打痕は多くの場合(火を起こすのに理想的な)一定方向で斜めの(表面をかすめるような)打撃を示している」と、ソレンセン氏は記している。

 研究チームはまた、顕微鏡を用いた観察で、石器の使用法が限定されていたことを示唆する筋状痕を発見。さらに、両面石器をさまざまな作業に使用する実験を行い、ネアンデルタール人の両面石器にみられる痕跡に最も近い跡が生じるのは、フリントを黄鉄鉱に打ち付けている時であることも明らかにした。

 火を起こす技能は、ネアンデルタール人の生活様式に重大な影響を与えたと考えられる。

「ネアンデルタール人が自分で火を起こすことができたとすると、必要な時に必要な場所で火を起こすことが可能となり、火を絶やさないようにするための追加の燃料を大量に集める心配も不要になったと思われる」と、ソレンセン氏は話す。

 また、自分で火を起こせることは、「当時のフランスが草原地帯とツンドラ(凍土帯)に覆われ、燃料のまきの供給源が劇的に減少した寒候期の間には」特に重要だったと考えられると説明した。(c)AFP/Pascale MOLLARD-CHENEBENOIT