【7月23日 AFP】ナイジェリアの商都ラゴス(Lagos)都市圏に立ち上げられたばかりの新しいIT拠点「NG_ハブ(NG_Hub)」のオフィスには、カラフルなハンモックや卓球台などが並んでいる。その様子はまるで、地球の裏側の米シリコンバレー(Silicon Valley)にあるスタートアップ企業のオフィスそのものだ。

 だが、ここは間違いなくラゴスのヤバ(Yaba)だ。ヤバは今、急成長しているナイジェリアのIT業界の中心地。インターネットに親しむ若者が支えるアフリカの新興市場に参入しようと、世界の大手IT企業がここに関心を向けている。今年5月には、米グーグル(Google)とフェイスブック(Facebook)がそろってこの地域に進出したばかり。

 ナイジェリアの副大統領、イェミ・オシンバジョ(Yemi Osinbajo)氏は今月、米国のIT投資家を誘致するためにカリフォルニア(California)を訪れ、自国で「第4の産業革命」を起こしたいと意気込んだ。

 だが、大手IT企業の関心が集まっているのは、ナイジェリアだけではない。6月にはグーグルが、ガーナの首都アクラ(Accra)にアフリカ初の人工知能(AI)研究所を開くと発表した。

 こうした動きの背景にあるのは、アフリカの年齢別の人口構成だ。アフリカ全体の推計人口12億人のうち、60%は24歳未満だ。また国連(UN)は2050年までにアフリカ人口は24億人に達すると予測している。

 米ニューヨークのITマーケティング会社「GBHインサイツ(GBH Insights)」のダニエル・アイブス(Daniel Ives)氏は、「フェイスブックやグーグルのような企業にとっては、押さえておくべき明らかなビジネスチャンス」と、アフリカでの動向を説明する。

 ナイジェリアにまだオフィスを常設していないフェイスブックはこのほど、NG_ハブで業務を開始した。その拠点のオープニングで、アフリカでのパブリックポリシーを担当するエベレ・オコビ(Ebele Okobi)氏は、今後の目標について、生まれてまもないIT業界を育てることとし、ナイジェリア全体で5万人に研修を行いながら「成功に必要なデジタルスキルを伝授する」と述べた。

 ナイジェリアのフェイスブック・ユーザーは現在約2600万人。拠点を置くことでフェイスブックはさらにユーザーを獲得すると同時に、新製品や新戦略を試せる巨大市場にアクセスできる。