【7月19日 AFP】バルト3国の一つラトビアの西部で発生した森林火災で、消防隊による懸命の消火活動が続く中、当局は18日、火災が間近に迫った村に避難命令を出した。

 国家消防庁によると、小規模村落のスティクリ(Stikli)には森林火災のもうもうたる煙と灰が立ち込め、寄宿学校の障害児を含む数十人の住民が避難を余儀なくされたという。

 17日にクルゼメ(Kurzeme)地方にある泥炭地で発生した火災は、その後瞬く間に近隣の乾燥した森林地帯をのみ込んだ。消防隊によると、火災の延焼面積はサッカー場200面近くに相当する約180ヘクタールに及んでいるという。

 国家森林局の当局者は「消火活動は大きな問題を抱えている。クルゼメのこの地域は人がまばらにしか住んでおらず、道が少ない上に狭く、広大な湿地帯のせいで近づくのが難しい地域が数多くあるからだ」と話した。

 陸軍と国家警備隊は18日、消防隊の消火活動を支援するために特殊ヘリを投入した。隣国のリトアニアからもヘリが送り込まれた一方、近くの港湾都市ベンツピルス(Ventspils)の住民らが有志の消防団を組織し始めた。

 猛暑が長く続く中、最高で30度に達する日中の気温と強風が炎をあおり立てている。今後2週間は、まとまった量の雨が降る予報は出ていない。

 欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)の加盟国で、190万人の人口を有するラトビアはこの数か月、深刻な干ばつに見舞われており、政府は6月に農業部門における国家災害非常事態の宣言を余儀なくされた。(c)AFP