【7月16日 AFP】ケニア南部で、絶滅の危機にひんしているクロサイを新しい保護区に移送したところ、8頭が死んだ。政府が13日、明らかにした。

 同国のナジブ・バララ(Najib Balala)観光・野生生物相は、「クロサイ8頭の死を受け、進行中の移送作業を直ちに中止」するようケニア野生生物公社(KWS)に命じたと、同省が発表した。

 絶滅危惧種の移送は、動物を眠らせて移送し、その後に意識を回復させるという危険を伴う。だが1回の移送で今回ほど多数の動物が死んだ前例はない。2005年から昨年までに計149頭のサイが移送されているが、その間に死んだのは8頭。今回の8頭の死で一気に倍増する事態となった。

 観光・野生生物省は「初期調査」の結果として、サイが新しい環境でこれまでとは違う水を飲み、「塩分中毒」が原因で死んだ可能性が示唆されたとしている。

 ケニアの著名な野生生物保護活動家は、当局が責任を取り、何が問題だったのかを迅速に解明すべきだと訴えている。

 サイの保護活動に従事する慈善団体「セーブ・ザ・リノ(Save the Rhinos)」によると、クロサイはアフリカのみに生息しており、総数は推計で5500頭を切っているという。世界自然保護基金(WWF)は、ケニアのクロサイの生息数は750頭だとしている。

 映像は、ケニア・ナイロビ国立公園で行われたクロサイの移送作業で、サイの角に穴を開け、無線送信機を埋め込むKWS職員ら。6月26日撮影。(c)AFP