【7月15日 AFP】15日にルジニキ・スタジアム(Luzhniki Stadium)で行われるサッカーW杯ロシア大会(2018 World Cup)決勝は、優勝最有力候補として通算2度目のW杯制覇を目指すフランスと、3試合連続となる延長戦を乗り越えて史上初の決勝進出を果たしたクロアチアが対戦する。

 ディディエ・デシャン(Didier Deschamps)監督が指揮を執るフランスは、アルゼンチン、ウルグアイ、ベルギーの3チームに90分で勝利すると、準決勝から決勝までの日程もクロアチアより一日多く間隔が開いており、ポルトガルに敗れた2016年の欧州選手権(UEFA Euro 2016)決勝の雪辱を晴らす準備ができている。

 一方、過去68年のW杯の歴史の中で、決勝まで勝ち進んできた国としては最小となるクロアチアは、フランスのような選手層の厚さに頼ることはできないが、直近3試合ではビハインドを背負う展開を強いられながらも不屈の精神力を見せてきた。

 そこでAFPは、クロアチアとフランスによる大一番で、勝敗の行方を左右するであろう3つのマッチアップに注目した。

――ルカ・モドリッチ(Luka Modric、クロアチア)対ポール・ポグバ(Paul Pogba、フランス)

 モドリッチは5シーズン在籍したスペイン1部リーグのレアル・マドリード(Real Madrid)で、通算4度の欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League) 制覇を経験し、さらには今大会の活躍ぶりで世界最高のMFの一人として評価され、バロンドール(Ballon d'Or)の有力候補にも挙げられている。

 モドリッチのような成績を残すことをポグバは目指していたが、自身の移籍金が一時期世界最高額を記録した実績を持つ同選手は、自らの創造力を犠牲にしてまでもチームに貢献している。

 イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)に所属するポグバは、ヌゴロ・カンテ(N'Golo Kante)と強力な中盤を形成し、対戦したアルゼンチンのリオネル・メッシ(Lionel Messi)やベルギーのケビン・デ・ブルイネ(Kevin de Bruyne)、エデン・アザール(Eden Hazard)を抑えてきた。

 20年ぶりのW杯制覇を目指すフランスにとって、イングランドと対戦した準決勝で後半に脚をつりながらも存在感を発揮していたモドリッチに対し、ポグバとカンテが中盤の主導権を握らせないかが勝利のポイントになる。

――マリオ・マンジュキッチ(Mario Mandzukic、クロアチア)対ラファエル・バラン(Raphael Varane、フランス)

 イタリア・セリエAのユベントス(Juventus)に所属するマンジュキッチは、大一番に勝負強さを発揮する傾向があり、最近ではイングランドとの準決勝で膝を痛めながらも決勝点を記録し、レアルでプレーするバランに対しても好成績を残している。

 マンジュキッチは2017年の欧州チャンピオンズリーグではオーバーヘッドを決め、今年4月に敵地サンチャゴ・ベルナベウで行われたレアルとのチャンピオンズリーグ準々決勝第2戦では2得点を記録。さらにスペイン1部リーグのアトレティコ・マドリード(Atletico de Madrid)時代、2014年のスペイン・スーパーカップ(Spanish Super Cup 2014)決勝ではレアルから決勝点を奪った。

 モドリッチ、イバン・ペリシッチ(Ivan Perisic)、イヴァン・ラキティッチ(Ivan Rakitic)といったチームメートを際立たせる役割をマンジュキッチは担っていくが、世界最高峰のセンターバックの一人として高さ、スピード、パワーを兼ね備えたバランは、クロアチアにとって最大の得点源を無力化させようとするだろう。

――マルセロ・ブロゾビッチ(Marcelo Brozovic、クロアチア)対アントワーヌ・グリーズマン(Antoine Griezmann、フランス)

 イタリア・セリエAのインテル(Inter Milan)に所属し、ズラトコ・ダリッチ(Zlatko Dalic)監督が先発復帰させたブロゾビッチは、中盤のモドリッチとラキティッチを守備の役割から解放し、クロアチアのポゼッションで大部分を担うセンターバック陣にはパスコースを供給している。

 一方、グリーズマンは2016年の欧州選手権で得点王に輝いたときほどの活躍を見せていない。今大会でグリーズマンが記録した3得点は、2本のPKとウルグアイ戦でGKフェルナンド・ムスレラ(Fernando Muslera)のミスから生まれたゴールのみである。

 しかし、アトレティコの大黒柱として知られるグリーズマンは、大会が進むにつれて調子を上げており、代表チームではプレーメーカーとして準々決勝でバラン、準決勝でサムエル・ウムティティ(Samuel Umtiti)のゴールをアシストしている。

 グリーズマンの活発な動きと頭脳は、クロアチアが疲労の色を隠せなくなったとき、オリヴィエ・ジルー(Olivier Giroud)やキリアン・エムバペ(Kylian Mbappe)にパスを出すスペースを見いだすだろう。そして、クロアチアでそれを阻止するのがブロゾビッチの役目となる。(c)AFP/Kieran CANNING