【7月14日 AFP】内戦下の中東イエメンからの亡命希望者数百人が、韓国南部の済州(Jeju)島に到着している。この事態を受けて、民族的にごく均質的な韓国社会で、かつてない外国人嫌悪が起きている。欧州を席巻し、米国でドナルド・トランプ(Donald Trump)氏を大統領に押し上げた反移民感情の高まりが、韓国でも繰り返されている。

 2015年以降、多くは紛争を逃れた100万人以上が到着したドイツでは、受け入れの是非をめぐって国内外で亀裂が生じた。米国では、トランプ氏が壁をつくるといったメキシコとの国境で毎月数千人の不法移民が拘束されている。

 だが、韓国では、過去数か月で550人のイエメン人が到着しただけで強烈な反発が起きている。韓国のポータルサイト「ネイバー(Naver)」に投稿された「政府は狂っているのか?やつらは私たちの娘をレイプするイスラム教徒だぞ」というコメントには、数千人が賛同を示した。

 ソウルでは先月、「偽の難民」の追放を当局に求めるデモに数百人が参加。大統領府のウェブサイトでは、もともと世界でも厳しい部類の難民法のさらなる厳格化を求めて、記録的な70万人分に近い署名が集まっている。「(旧植民地の)欧州には歴史的な重荷があるかもしれないが、韓国にはそうした倫理的義務はない」とこの署名は主張している。

 人口のうち外国人はわずか4%程度で、それも中国や近隣の東南アジア諸国からの人々が大半の韓国では、難民という概念自体になじみが薄い。

 2015年のある政府調査では、外国人は近所に住んでほしくないという回答が32%だった。これは米国の14%、中国の12.2%などを大きく上回っている。

 済州島に到着しているイエメン人たちは、この島ではリゾート観光促進のために査証(ビザ)が不要とされていた点を利用した。この抜け穴は現在、すでにふさがれている。

 最新の世論調査では、亡命を希望しているイエメン人の受け入れに約半数が反対。賛成は39%、どちらでもないが12%だった。

 中部・大田(Daejeon)出身の学生パク・セヨンさん(20)も、受け入れに反対している。「イエメンは女性の人権状況が非常に悪いと聞いた。済州島が前よりも危険になったり、犯罪率が上がったりするのが怖い」とAFPに語った。別の学生ハン・ウィミさんも口をそろえる。「近くに他の国がたくさんあるというのに、なぜこんな遠くの韓国まで来るのか」