【7月13日 AFP】数年前、2人の研究者が、あるクッキングブックの中で最も使用されている50種類の材料を取り上げ、がんのリスクや予防に関連付けられているものがいくつあるかを科学雑誌に掲載されたさまざまな論文を基に研究した。その結果は、塩や小麦粉、パセリ、砂糖など、50種類中40種類に及んだ。

「私たちが食べるものはすべて、がんに関係しているのではないか?」。研究者たちは2013年、自分たちの発見に基づく論文を発表し、そう疑問を呈した。

 彼らの調査は、科学界において認識されてはいるものの依然、起こり続けている問題に触れていた。それは、一般化された結論を支持するのに十分な量の試料を収集して行われた研究があまりに少ないということだ。

 だが研究者らへのプレッシャーや学術誌間の競争、革新的な発見を告げる新たな論文をメディアが常に渇望していることなどが原因で、こうした記事は掲載され続けている。

 科学研究に関する専門家で米スタンフォード大学(Stanford University)医学部のジョン・イオアニディス(John Ioannidis)教授は「発表される論文の大半は、たとえ真面目な雑誌に掲載されたものであっても、かなりずさんだ」と語った。

 質の悪い論文に手厳しい同氏は、2005年に書籍「Why Most Published Research Findings Are False(なぜ発表された研究結果の大半は誤りなのか)」を出版し、大きな話題となった。だが以降、改善は限定的にしか見られていないと同氏は話す。