【7月16日 東方新報】中国・四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)同和路(Tonghe)のある住宅街で、窃盗事件が相次いで発生し、まもなく警察が窃盗犯一人を逮捕した。警察が犯人を連れて現場検証に行くと、怒った住民が泥棒の正面から写真を撮り、居住区画の入り口に貼り付けた。写真は、約1か月貼ってあったという。住民たちは、ほかの泥棒に対する警告など抑止効果があるとして、「非常に良い」と評判だったが、通行人からは「良くない」など疑問を呈する声が出ていた。

 記者が4日午後、同区画の住民を訪ねて取材した。泥棒が捕まったことに住民は皆で拍手喝采し、窃盗犯が現場検証のために警察に現地に連れてこられた際、住民はスマホを持ち出して写真を撮った。

「お前を待っているのは法的な懲罰だ」。貼り出された写真に添えられていた言葉だ。写真には窃盗犯の顔が明瞭に写っており、黄色い服を着せられていた。

 周辺の住民は、おおむね肯定的だ。周さんは、「窃盗事件があまりにも頻繁に起こっているので、こうすれば警告と威嚇効果が出る」

 しかし、「これはまずい」と言う人もいる。「この1か月で、何回もここを通りかかり掲示を見たが、目障りだ」と、通りがかりに掲示を見たという劉さんは話す。「犯罪者を移送する時でさえ頭に袋をかぶせて見えなくするのに、泥棒だって肖像権はある。こんなことをしてはまずいよ」

 記者は建物の管理会社に状況を聞いたが、管理会社の従業員は、あの掲示物は管理会社が貼ったものではなく、住民が貼ったものだとして知らぬ存ぜぬだった。

 四川潤方法律事務所の方樹斌弁護士は、「住民が泥棒の写真を貼り出すことは明らかに不適切だ。犯人の人格権に関わることで、当事者の尊厳を損ねる。有罪の判決が下されていない状況で、犯罪者だとみなすことはできない。住民が窃盗被害に遭って怒る気持ちは理解できるが、泥棒の写真を貼り出して注意を促す場合でも、顔にモザイクを入れるなど何らかの遮断措置が必要だ」と話している。(c)東方新報/AFPBB News