【7月12日 CNS】小米集団(シャオミグループ、Xiaomi)は、新規株式公開(IPO)申請から2か月後の9日午前、香港証券取引所(Hong Kong Exchanges and Clearing)で取引を開始した。

 午前9時30分、同取引所のトレーディングフロアの幅3メートル重さ200キロの大きなどらは、紺色の背広にシャオミのカンパニーカラーであるオレンジ色のネクタイを着けた雷軍(Lei Jun)董事長を迎え、初めの一撃を待った。

 シャオミは香港証券取引所が新たに「上場規則」を定めてから初めて上場する「同じ株でも異なる権限の株」の会社だからなのか、IPOは同取引所がこの3年間で迎えた最大規模となった。来訪者は600人に上った。

 どらの傍らで、雷董事長は自分の起業の歴史を振り返り、当時から自分と共に小米かゆ(粟かゆ)をすすり、肩を並べ、現在まで闘ってきた共同創業者に感謝し、李嘉誠(Li Ka-Shing)、ジャック・マー(Jack Ma)、馬化騰(Pony Ma)などの多くの投資家や、早い段階からシャオミを支持してくれたファンに感謝の意を表した。

 雷董事長は、「香港株の改革によって、シャオミが上場できた。資本市場の大勢は必ずしも良くないが、必ず飛躍できると信じる」と述べた。

■初値は公募割れ

 雷董事長がどらをたたくと同時に、シャオミ株の取引が始まり、価格は公募価格を下回った。発行価格17香港ドル(約240円)に対し、初値は2.35%落ちの16.6香港ドル(約235円)だった。

 初値で計算すると、シャオミの市場価値は473.26億米ドル(約5.3兆円)となる。開始後の30分で、シャオミの株価は16香港ドルを切り、発行価格に比べ6%落ちとなった。17香港ドル近くまで戻す局面もあったが、終値は16.8香港ドル(約238円)だった。

 シャオミの市場価値は終値で478.99億米ドル(約5.3兆円)となり、雷董事長が前日の8日に公開書簡の中で提起した543億米ドル(約6兆円)の予想値をやや下回ったが、金額そのものは網易(NetEase)を上回った。

 実際、シャオミ株の取引開始前には、目下の香港資本市場の影響とシャオミの評価価格の議論などで、初日は公募割れとなると予測されていた。雷董事長もこうした価格の動きについて予想をしてきており、心の準備もあったと思われる。8日付けの公開書簡の中で、「最近の資本市場は変化が大きく、シャオミが上場できるということ自体が大きな成功だ」と述べているからだ。

 16.6香港ドルの初値にしろ、やや低めの市場価値にしろ、雷董事長の気持ちが影響を受けることはない。上場セレモニーの中で、は終始、笑みをたたえていた。雷董事長からみれば、上場は単なるスタートであり、シャオミの前途は洋々としたものなのだ。

 インタビューに応じた雷董事長は、「低いところからのスタートは悪いことではない」「重要なことは気持ちの整理だ。シャオミの道はこれまでも平坦ではなかったが、全体的には順調にきている」

 シャオミの公募割れについて、TMT(技術・メディア・通信)独立分析師である付亮氏は、3つの要因を指摘した。一つは、シャオミが「シャオミ方式」を明確に説明しなかったこと。電子商取引業者やニューリテール(新小売)、ニューエコノミーなどの概念に対して「できればやる」的なあいまいな態度をとった。二つ目は、シャオミが「中国預託証券(CDR)方式で上場」から「CDR上場を放棄」に変わる過程で市場と投資家を失望させたこと。三つ目は外部環境が良くなかったこと。シャオミは投資ファンドからの圧力により、あたふたと上場してしまった感があると分析した。

 振り返ってみると、シャオミの上場の道は紆余(うよ)曲折が多かったと言える。「CDR方式で上場」と言ったり「CDR上場を放棄」と言ったりフラフラした態度の後に、市場価値は1千億米ドルから半分以下に下落してしまった。

 雷董事長はこれについて、「価格に対しては、おうようでなければならない。そうでないと、今日の市場の変動と投資者の心に対応できない」と言い、終値の17香港ドルについては「大いに満足だ」と話した。(c)CNS/JCM/AFPBB News