■アジアの不妊治療ネットワーク

 不妊治療を仲介するBHGの創業者でシンガポール人のウェイ・シャン・ユー(Wei Siang Yu)会長は、「東南アジアに生殖補助医療のサプライチェーンが作られつつある」と指摘する。BHGは中国人患者が、世界中の不妊治療専門家と中国語の通訳を介して話せるビデオ会議のプラットフォームを立ち上げた。また、タイ、オーストラリア、米国などに精子と卵子のバンクを開設した。主に中国人患者が対象で、スマートフォンのアプリを使えば、まるで銀行口座のように自分たちの「生殖資産」を管理できるという。

 ユー氏によると、タイでの医療ツーリズムの外国人患者数で、中国人患者は2年前6位か7位だったが、今年は1位になる見通しだ。

 中国人夫婦が海外のクリニックに行く理由は、不妊治療や大家族を望んでいるからだけではない。中国では男の子を望む家庭が多く、大多数の国では技術的に違法となっている男女産み分けが目的で海外のクリニックに行く夫婦もいる。また、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)のカップルもいる。

 中国中部出身のリー・ナ(Li Na)さん(41)は、上海、香港、米国で高額な不妊治療を試みたが、すべて失敗に終わった。だが、リーさんと夫はタイでの治療に懸け、代理母出産で双子の女の子を、不妊治療で男の子1人を持つことができた。リーさんはこの経験を元に、彼女と同じ喜びを求める中国人夫婦のためのコンサルタントを副業で始めた。

「子どもたちを迎えるためタイに降り立った時、涙が止まらなかった」とリーさんは言う。「この子たちが自分の子どもだなんて、信じられなかった」 (c)AFP/Albee ZHANG / with Sally Mairs in Bangkok