■「怪しい」操業

 報告書に引用されているある企業代表者の話によると、この企業では、内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)で「怪しい」操業を行っている無許可の工場からCFC類を調達したり、税関でCFC類が見つからないよう隠匿行為を行ったりしているという。

 また、報告書に発言が引用された別の企業は、CFC類を自社工場で生産しており、1日に40トンのCFC製剤の生産が可能だとしている。さらに、ある貿易業者によると、規制対象のCFC製剤を、代替フロンとして使用されているハイドロフルオロカーボン(HFC)化合物や他の化学物質の混合物と不正に表示して輸出している中国企業もあるという。

 主にアジアや中東の国々向けのこうした化合物の輸出量を考えると、CFC類の禁止を表明している国々が気付かずにCFC類を輸入していることも考えられると、報告書は指摘している。

 EIAのアレキサンダー・フォン・ビスマルク(Alexander von Bismarck)米事務局長は「中国がこのCFC類の違法な生産を阻止しなければ、ゆっくりと回復しつつある地球のオゾン層を危険にさらすことになる」と話し、「CFC-11は非常に強力な温室効果ガスでもあり、地球の気候に対する深刻な脅威となる」と指摘した。

 今回のEIAの報告書は、オーストリア・ウィーンで11日から14日まで開かれるモントリオール議定書公開作業部会の開催に先立ち発表されたもの。会では不正なCFC-11排出の問題が議題に上がるとみられている。(c)AFP/Joanna CHIU