【7月10日 AFP】エチオピアとエリトリアは9日、エリトリアの首都アスマラで共同声明を発表し、「戦争は終結した」と表明した。アスマラで一連の歴史的な会談を行った両国首脳は、20年にわたる対立と紛争に終止符を打つことで合意した。

 エリトリアを公式訪問したアビー・アハメド(Abiy Ahmed)エチオピア首相(41)とイサイアス・アフウェルキ(Isaias Afwerki)エリトリア大統領(71)が「平和友好共同宣言」に調印した。このことをツイッター(Twitter)で明らかにしたエリトリアのヤマネ・ゲブレメスケル(Yemane Gebremeskel)情報相によると、共同宣言は「両国間の戦争は終結し平和と友好の新しい時代が始まった」とした上で「両国は政治、経済、社会、文化、安全保障の面で緊密に協力していく」とする内容。

 エチオピアの政府系ニュースメディア、ファナ放送会社(FBC)は、エチオピア航空(Ethiopian Airlines)が早ければ来週にもエチオピアの首都アディスアベバとアスマラ間で旅客便の運航を開始すると伝えている。

 両国間では20年ぶりに直通電話回線も復旧し、国境を隔てて離ればなれになっていた家族が会話できるようになったことに喜びの声が上がった。アディスアベバで製品デザインに携わる30歳の男性はAFPの取材に対し、エリトリアに住む家族の声を戦争後初めて聞いたとして「(嬉しさを表す)言葉が見つからない」と述べた。

「アフリカの角(Horn of Africa)」と呼ばれるアフリカ最東北端部に位置するエチオピアとエリトリアの間では、1998年に国境紛争が発生し、2000年の停戦までに8万人が死亡した。その後もエチオピアは国連(UN)の仲介で定められた国境線に反発し、対立が続いていた。

 4月に就任したアビー首相は改革路線を推進。国境紛争については6月、紛争のきっかけとなった村バドメ(Badme)のエリトリア帰属を認めた2002年の常設仲裁裁判所・国境画定委員会の決定に従い、バドメを含む国境付近の係争地をエリトリアに返還する方針を表明し、これを機に両国の雪解けが始まっていた。

 共同宣言の署名式を終えたアビー首相は9日、2日間の公式訪問を終えて帰国の途に就いた。(c)AFP/Chris STEIN