■「ストーリーを飲む」

 オーガニックワイン生産者のエマニュエル・ギヨ(Emmanuel Guillot)氏もまた、心温まるコミック「忘れられた偉大なるブルゴーニュ」でワイン学の究極の高みを追求し始めた。この作品は読者にとって、楽しみながら学べるワインコミックだ。

 ギヨ氏の生家ギヨブルー(Guillot-Broux)家は、1950年代にブルゴーニュ(Burgundy)地方でオーガニックワインの醸造を始めたパイオニア。ほぼ全てのブドウを、除草剤や殺虫剤が一切まかれたことのない土壌で栽培している。

 作品に友人や家族、仲の良いワイン生産者などをモデルとしたキャラクターをよく登場させるギヨ氏から見て、ワインコミックというジャンルの成功は、自分たちが楽しんでいるワインという飲み物ともっと深い関係を築きたいというワイン愛好家たちの願いそのものだという。

「ボトルを開けてワインを飲むとき、私たちは旅をする。単に酒を飲むのとは違う。ストーリーを飲んでいるのです」とギヨ氏。「漫画なら、読者はすぐに登場人物の人生の中に入り込める。すると、ワインのボトルに詰まった喜びや危機が見える。感情をめぐる全てがそこにある」

 良いワインというものは「映画館みたいなものだ」とギヨ氏は語った。(c)AFP/Fiachra GIBBONS