【7月9日 AFP】サッカードイツ代表メスト・エジル(Mesut Ozil)の父親は8日、同国代表がW杯ロシア大会(2018 World Cup)で衝撃的な敗退を喫したことをめぐり、息子が「スケープゴート」にされたとして、同選手は代表から引退するべきだと述べた。前回王者のドイツは今大会、グループステージ最下位に沈んで敗退し、29歳のMFは同国内で激しい批判を受けている。

 エジルはW杯開幕直前にトルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領と並んで写真を撮影したことで、ドイツに対する忠誠心が疑問視されるなど物議を醸し、大会前から大きな重圧がかけられていた。

 ドイツのチームマネジャーを務めるオリバー・ビアホフ(Oliver Bierhoff)氏は5日、この件に関してエジル本人から説明がなかったとして、代表チームはトルコにルーツを持つ同選手をW杯メンバーから外すことを考慮すべきだったかもしれないとほのめかした。

 しかし、これに対してエジルの父親であるムスタファ・エジル(Mustafa Ozil)氏は、独紙ビルト(Bild)のインタビューで「今回の発表は敬意に欠いていて無礼だ。彼らは自己保身に走ったというのが私の意見だ」と話した。

 ビアホフ氏は6日、エジルに圧力をかけたのは「間違い」だったとして、自身の発言を撤回したが、今度はドイツサッカー連盟(DFB)のラインハルト・グリンデル(Reinhard Grindel)会長が議論に口をはさみ、同選手は自身の立場を公表すべきだとの考えを示した。

 グリンデル会長は9日に掲載が予定されている独誌キッカー(Kicker)のインタビューの中で、エジルが公に発言しなかったことが「多くのファンを失望させた。彼らには疑問があり、質問に答えてもらうことを期待していたからだ」と述べている。「彼らは、この件に関する答えを切望している。だから本人のためにも、休暇から戻ったらメストが口を開くべきというのは明白だ」

 これに対してムスタファ氏は、エジルが自身の立場を明確にしていないことを擁護しており、「彼はもう自分のことを説明したいとは思っていないし、もはや自分のことを守る必要だってない。彼はドイツ代表で9年間プレーしているんだ…。A代表の一員として世界王者にも輝いている」とすると、「彼はこの国の代表チームに大きく貢献した。ずっとそうだったじゃないか。勝ったときは一緒だったはずだ」と続けた。

「しかしチームが負けたときは、なぜエジルのせいになるんだ?彼はいまだに口笛を吹かれているし、スケープゴートにされた。彼が侮辱されていると感じているかどうか、私には分かる」

 また、エジルに対する扱いは「不当」だと言うムスタファ氏は、「彼は自分で決めなければならない。しかし、もし私が彼の立場だったら、私は『本当にありがとう。けれど、これでおしまいだ』と言うだろう」と述べた。

「傷が広がりすぎた。次の試合で何が起きるかなんて誰に分かる?私がメストだったら代表チームから引退するさ。私の個人的な意見にすぎないが」 (c)AFP