【7月6日 AFP】オーストラリアに生息するトカゲやヘビなどの爬虫(はちゅう)類が侵略的外来種や気候変動による脅威の増大に直面しており、全体の7%が絶滅寸前の危機的状況にあるという。国際自然保護連合(IUCN)が5日、明らかにした。

 IUCNが5日に発表した世界の野生動植物の絶滅危機の度合いを示す「レッドリスト(Red List、絶滅危惧種リスト)」最新版によると、実質的にすべてのオーストラリア固有の爬虫類が現在、その生存が脅かされていると考えられ、14種に1種が絶滅の危機に陥っているという。

 IUCNによると、オーストラリアに生息する爬虫類で現在レッドリストに掲載されている種は全部で975種で、大半が同国の固有種だという。

 オーストラリアには非常に多様性に富んだ爬虫類の個体群が生息している。孤立した状態で進化した同国の爬虫類群は世界の爬虫類動物相の10%近くを構成する。

 IUCNは、危機的状況にあるオーストラリアの爬虫類の大半にとって、侵略的外来種がその主な脅威になっており、最近の研究では、年間約6億匹の爬虫類が、野生化した侵略的外来種のネコによって殺されていることも明らかになっていると指摘した。

 胴体が太く四肢が短い小型のトカゲ、グラスランドイヤレスドラゴンは、広範囲で野生ネコによる狩りの対象となっており、最新版のレッドリストでは、従来の「危急(Vulnerable)」から絶滅の危険性が一段階高い「危機(Endangered)」に分類された。

 また、オーストラリアの爬虫類を脅かしているもう一つの侵略的外来種は毒を持つオオヒキガエルだと、IUCNは指摘している。オオヒキガエルは中南米を原産とする世界最大のヒキガエルだ。

 捕食動物を死に至らしめる毒を皮膚から分泌するオオヒキガエルは、サトウキビ畑を荒らす害虫の甲虫類を抑える目的で1935年にオーストラリアに持ち込まれた。

 この試みの大半は不成功に終わったが、その一方で、オオヒキガエルが半水生のミッチェルオオトカゲなどの爬虫類に壊滅的な影響を与えることが判明した。ミッチェルオオトカゲは最新版のレッドリストで絶滅一歩手前の「深刻な危機 (Critically Endangered)」に分類されている。

「毒を持つオオヒキガエルを捕食することは、一部の地域で最大97%の個体数減少を引き起こした」と、IUCNは述べている。また、オーストラリアの爬虫類が特にオオヒキガエルの毒に弱いのは、豪州大陸には同じ毒を生成する在来種が存在しないからだと説明した。