【7月6日 AFP】(更新、写真追加)1995年の地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教(Aum Supreme Truth)の元代表、麻原彰晃(Shoko Asahara、本名:松本智津夫、Chizuo Matsumoto)死刑囚とオウム真理教元幹部の計7人の絞首刑が6日朝に執行された。日本の報道各社が伝えた。

 麻原死刑囚は13人が死亡、数千人が負傷した地下鉄サリン事件などで有罪となり、2006年に死刑が確定していた。オウム真理教による一連の事件をめぐっては13人の死刑が確定しているが、執行されたのは麻原死刑囚が初めて。

 1995年3月20日に起きた地下鉄サリン事件は世界を震撼(しんかん)させ、大規模な捜査が行われた。ラッシュアワーを狙った地下鉄サリン事件によって、東京は戦場さながらになった。負傷した人々がよろめきながら地下から出てきたり、涙を流しながら苦しそうに呼吸したりしていた。卒倒する人もいれば、口から泡を出す人や鼻血を流す人もいた。

 麻原死刑囚は1955年、九州生まれ。オウム真理教が生まれた1980年代に麻原彰晃と名乗り始めた。ほとんど目が見えない麻原死刑囚は、カリスマ的な演説家とみられていた。自身を神秘主義で覆い隠して終末論を説くオウム真理教の信者を獲得していった。

 アレフ(Aleph)に改称したオウム真理教は2000年、麻原死刑囚と正式に絶縁した。アレフの活動は禁止されていない。専門家によると、麻原死刑囚は今もなお強い影響力を維持しており、瞑想(めいそう)の際に麻原死刑囚の写真や音声を使う信者もいるという。

■「殉教者」化に懸念の声も

 地下鉄サリン事件など、オウム真理教が起こした一連の事件に対する憎悪は根強く残っているが、一部の専門家からは麻原死刑囚らの死刑執行を懸念する声も上がっている。

 こうした専門家らは、麻原死刑囚の死刑執行を受けて教団が新しい指導者を指名する恐れもあると危惧している。麻原死刑囚の次男の名前も取り沙汰されている。

 オウム真理教被害対策弁護団の滝本太郎(Taro Takimoto)弁護士は今年、AFPのインタビューで、オウム真理教が起こした事件の死刑囚に刑を執行することで、彼らを残る信者らにとっての「殉教者」としてしまう恐れもあると警鐘を鳴らしていた。

 滝本弁護士は、オウム真理教の死刑囚らには自然死するまで話をさせるべきで、そうすることがこの種の事件の再発防止につながると述べた。(c)AFP