クチュールはトレンドと別格、「ディオール」
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【7月3日 AFP】「ディオール(Dior)」は2日、18/19年秋冬オートクチュールコレクションを発表した。「インスタグラム(Instagram)」を利用する層の趣向とは真逆の、あえて控えめなコレクションを披露し、高級な服はその存在を声高く知らせる必要はないということを暗に示した。
同ブランドのデザイナー、マリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)は今回のコレクションでは、ソーシャルメディア上で多くの「いいね!」を獲得する派手な服ではなく、伝統的な職人技の素晴らしさを伝えられるようなものにしたかったとした。
仏パリで開催されたショーの前キウリは、1940年代にインスパイアされたテーラリングの美しいボールガウンなどで構成されたコレクションについて、「密かなラグジュアリーなのです」と語った。
「クチュールを購入する顧客は『インスタグラム』を多く使用するような人たちではありません」とキウリはAFPに話した。「クチュールの顧客は、クチュールがなんなのかを知っています。その人のために、その人の体に合うように、時間をかけて作られた作品なのです」
キウリは18/19年秋冬オートクチュールコレクションで基本に立ち返り、ヌードやネイビー、ダスティピンクなどの落ち着いた色合いでコレクションをスタート。徐々にオレンジやリーフグリーンへと色合いを変化させ、カラフルな刺しゅうも取り入れた。
ベレー帽や、格式高い舞踏会などでも通用するタイムレスなロング丈のドレスルックが多く披露された。しかし同時にバストトップが透けるルックも取り入れるなど、大胆さも忘れていない。
最近ではフェミニストな一面を、作品を通して表現しているキウリは、上品に花の刺しゅうを施したフェミニンなシルエットの他にもゴールドのパワースーツを披露した。
何万ドルもの値が付けられるオートクチュールならではの作品で、中には制作に800時間も要したドレスもあった。
「オートクチュールの作品は人に見せつけるものだと――高価なのだからその価値は可視化できるべきだと考える人もいる」「しかしそれがクチュールではない」とキウリ。物の良さを分かっている顧客はこれ見よがしにする必要はないと語った。
■小鳥のさえずりにフラミンゴフェザー
職人技を用いて手作業で作られるこのカスタムメードの服は、仏国政府の厳しい基準の下制作されており、「オートクチュール」を名乗るにふさわしいとされるのはわずか14メゾン。
この良さを理解できる顧客のために作られたコレクションは、その全てを生み出しているメゾンの「アトリエ」に捧げたいと彼女は話した。
キウリの想いは、ケイティ・ホームズ(Katie Holmes)やモデルのカーリー・クロス(Karlie Kloss)が見守る、白いドレスを着せられたマネキンが背景に並ぶロダン美術館(Rodin Museum)のランウェイから感じ取ることができた。(c)AFP/ Katy LEE and Anne-Laure MONDESERT