【8月30日 AFP】焼けつくような暑い夏のとある日、米首都ワシントン南東部の荒れた地域に似つかわしくない昔ながらの立派な球場で、子どもたちが野球の試合をしている。両親や祖父母たちは観客席でホットドッグをほおばりながら、大きな声援を送ったり青いテントの下で日陰を探したりしている。

 こうしたリトルリーグの典型的な風景は米国の至る所で目にするものであり、フィールドで対戦している両チームの肌の色がはっきり分かれていなければ、決して物珍しいものではなかっただろう。

 攻撃しているのは、黒人リーグ唯一の女性投手の名にちなんだ南東部のメイミー・ジョンソン・リトルリーグ(Mamie Johnson Little League)。12歳のアフリカ系米国人選手で構成されるチームだ。対するは、数十年にわたり圧倒的な強さを誇り、富裕層が集まるノースウエスト・ワシントン・リトルリーグ(Northwest Washington Little League)。ほとんどの選手が白人だ。

 メイミー・ジョンソンのニール・スネル(Neil Snell)監督は、都市部のアフリカ系米国人の間で急落している野球の人気を回復させるために4年前に創設されたチームが、その傾向を変えられることを期待しており、「われわれの構想は、このコミュニティーの子どもたちが、再び野球をプレーするようになること。子どもたちがストリートを離れ、大学教育を受ける機会が与えられるようなコミュニティーをつくりたかった」と述べた。

 野球は国全体で人気が衰えており、競技人口や観客数が減少していることに加えて、テレビ視聴率も1980年代から著しく右肩下がりとなっている。最近の世論調査によると、バスケットボールやアメフトの方が野球よりも視聴率が高く、米スポーツファンの間では人気度でもやがてサッカーが野球を追い越す可能性が指摘されている。特にアフリカ系米国人のコミュニティーにおいて、野球への興味が失われていることは明白な事実となっている。