■希望の光

 もちろん、「米国の娯楽」がすぐにどこかへ消え去ってしまうということはない。MLBでは昨季の年間収入が100億ドル(約1兆1000億円)を超えており、世界で2番目に稼いだリーグとなっている。

 こうした事実は、ファンの年齢層に関する危機的状況を覆い隠していると懸念する声も上がっている。昨年の世論調査によると、MLBの視聴者層は平均53歳で、米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)は平均47歳、NBAは平均37歳となっている。

 MLBの頂上決戦であるワールドシリーズの視聴者数は、全盛期だった30年前の4000万人から、昨年はその半数まで落ち込んでいるという。MLBもこの問題を把握して強い関心を示しており、試合時間の短縮やプレーの盛り上げ、さらには地域での奉仕活動イベントを企画するなど、あらゆる手を尽くして改革を図っている。

 MLBの公認歴史家であるジョン・ソーン(John Thorn)氏は、「野球はわれわれが同世代を認識したり、世代を超えたり、知らない過去の世代と結びつけたりするための手段である」「問題なのは減少傾向を認識せず、自然な衰退にすぎないとして、そのままずっと放置することだ。アフリカ系米国人が参加することは国家のプラスになり、野球の利益にもつながる」と述べている。

 ナショナルズのマッカーシー副社長はメイミー・ジョンソンの成功に希望の光を抱いており、「初期のチームの3分の2に相当する選手が、われわれの野球アカデミーにおいて初めてベースボールを学んだ。これらの子どもたちは野球に興味がなかったか、まったく知らなかった。彼らはワシントン・ナショナルズの下で野球を学び、数年後には優勝チームにまで成長するだろう」と述べた。(c)AFP/Issam AHMED