【7月3日 AFP】英政府は3日、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)の人たちに対する差別解消を目指した「行動計画」を発表した。計画には物議を醸しているコンバージョン・セラピー(矯正治療)を法的に禁止する法案の提出も含まれている。

「行動計画」はLGBTの人たちを対象にしたオンライン調査で得られたデータを基に立案された。10万8000人から回答があり、LGBTが対象の調査としては世界でも最大規模のものだ。

 調査で、何らかの形でコンバージョン・セラピーを受けたことがあるとの回答は約2%、コンバージョン・セラピーを勧められたが拒否したとの回答は約5%だった。コンバージョン・セラピーについて、英国のLGBTの人権団体「ストーンウォール(Stonewall)」は「同性に対する関心を低下もしくは止めさせることを目的としたすべての形態の治療または心理療法」と定義している。

 英政府は行動計画の中で「コンバージョン・セラピーは誤った対処法であり、われわれはその継続を望まない」とし、「コンバージョン・セラピーの奨励、提供、実施の禁止に向けて法律の制定によるものとよらないものの両方を含むあらゆる選択肢を真剣に検討する」と明言した。コンバージョン・セラピーを受けたと回答した人のほぼ半数が宗教団体からセラピーを受けたと答え、医療専門家からが19%、家族からが16%だった。

 その一方で行動計画は、自身の性的指向やジェンダー・アイデンティティー(性自認)を追求するLGBTの人たちが合法的な医療措置や、宗教的指導者からの精神的支援を求めることを妨げるものではないと強調している。

 テリーザ・メイ(Theresa May)首相は「LGBT行動計画では社会全般に現実的で永続的な変化をもたらすための具体的な措置をまとめた」と説明した。行動計画には、国のLGBT健康顧問の任命、学校でのホモフォビア(同性愛嫌悪)によるいじめ対策、LGBTに対するヘイト犯罪の記録・報告の改善などが含まれている。(c)AFP/James PHEBY