■急速に発展した産業

 エベレストの登山産業は、この20年間で急成長した。

 その結果、登山道が混雑することへの懸念や、格安旅行業者に釣られた経験の浅い登山者が増加することへの危惧が広がっている。

 双子のきょうだいウィリーとともに20年以上のエベレスト登山経験を持つダミアン・ベネガス(Damian Benegas)さんは、こうした経験の浅い登山者たちがごみ問題を悪化させていると警鐘を鳴らした。

 シェルパや高地ガイドの他、地元の先住民族から選ばれたスタッフたちは、テントや予備の酸素ボンベ、ロープなどの重い荷物を持って山を上り下りする。

 以前は大半の登山者たちが、予備の着替えや食料、寝袋、補給用酸素といった個人用装備品を自分で運んでいたが、今は多くの登山者たちが自身で扱うことができず、すべてシェルパに運んでもらっている。

「彼らは客の荷物を運ばなければならないので、ごみを持ち帰ることができないのです」とベネガスさんは語った。

 環境問題専門家らは、エベレスト山中の環境悪化がふもとの谷にある水源にまで影響を与えていると懸念を示している。

 現在、ベースキャンプから排出された未処理の汚水は、徒歩1時間ほどの隣村まで運ばれ、その村の下水溝に廃棄されている。

 米国人技術者のギャリー・ポーター(Garry Porter)氏によると、汚水はその後、モンスーンの時期に丘のふもとを流れる川に排出されるという。

 ポーター氏はこうした問題について自身のチームとともに解決策を模索しており、現在、登山者たちの排泄物を肥料に変えるバイオガスプラントをエベレストのベースキャンプ近くに設置することを検討している。映像は5月、3月、4月撮影。(c)AFP/Paavan Mathema and Annabel Symington