【6月30日 AFP】米フロリダ州ケープカナベラル(Cape Canaveral)で29日、国際宇宙ステーション(ISS)でドイツ人宇宙飛行士の活動をサポートするために開発された、「空飛ぶ脳」の愛称を付けられているボール型の人工知能(AI)ロボットが搭載されたロケットが打ち上げられた。

 米宇宙開発企業スペースX(SpaceX)の「ファルコン9(Falcon 9)」ロケットに搭載された物資補給用無人宇宙船「ドラゴン(Dragon)」には、ISSの予備のロボットアーム、宇宙における植物のストレス測定装置、新しいがん治療法の研究のための備品なども積み込まれており、7月2日にはISSに到着する予定。

 しかし、今回搭載されている中で重要なアイテムは、バスケットボールほどの大きさの「CIMON(Crew Interaction Mobile Companionの略)」と呼ばれるAIロボットだ。

 CIMONは、欧州宇宙機関(ESA)のドイツ人地球物理学者で、現在、ISSに滞在しているアレクサンダー・ゲルスト(Alexander Gerst)氏(42)の声と表情を認識するよう訓練された。

 ゲルスト氏が呼び掛けると、無重力空間で浮かんでいるCIMONはどこから呼ばれているかを聴覚的に感知し、呼ばれている方に向きを変え、その方向に移動する。ヒトの目の高さに浮かんで、前方のカメラで前にいる人物がゲルスト氏かどうかを確認する。CIMONはまた、同氏の感情を読み取るように設計されている。さらに、数十枚のプロペラが装備され、ISSの欧州実験棟「コロンバス(Columbus)」内で、物にぶつからずに移動することができる。

 米IBMのワトソンIoT製品(Watson Internet of Things Offerings)担当副社長のブレット・グリーンスタイン(Bret Greenstein)氏は、「(CIMONは)英語で作動するように設計」されており、ゲルスト氏のことを理解するようにできていると説明した。

 現在、ISSに滞在している宇宙飛行士6人全員がCIMONに話し掛けることはできるが、CIMONはゲルスト氏と最もよく協力するように開発されている。

 CIMONの任務は、必要に応じて動画や画像を見せながらさまざまな科学的手順を通じて、ゲルスト氏を教え導くことだ。そのため、ゲルスト氏からCIMONに何かを質問することもできるようになっている。(c)AFP/Kerry SHERIDAN