【6月28日 AFP】アフリカ中部ルワンダ初の自動車工場として稼働を開始した独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の組み立て工場で27日、第1号車となる小型ハッチバック「ポロ(Polo)」が完成した。ポール・カガメ(Paul Kagame)大統領は式典で「経済改革の新たな一章」になったと称賛。生産される車は国民の平均年収の20倍以上の価格で庶民にとっては高根の花だが、VWは配車サービス用の車として貸し出すことなどを通じて国民への浸透を図る考えだ。

 首都キガリにあるこの工場は、2016年12月に結ばれた契約に基づいて2000万ドル(約22億円)で建設された。第1号車がこの日、カガメ大統領やVWサウスアフリカのトーマス・シェーファー(Thomas Schafer)会長に迎えられた。

 カガメ大統領は記念式典で「ルワンダでドイツ車が本当に組み立てられるというのは信じ難いと言う人もいる。しかし今日、1号車が組み立てラインを離れた」と表明。「この施設は間違いなく、ルワンダの経済改革の道筋で新たな一章になった」とたたえた。

 カガメ大統領は、外国からの輸入よりも国内での生産の方が好ましいと重ねて強調した。ルワンダはこの姿勢により、古着をめぐって米国との「ミニ貿易戦争」に突入してもいる。

 ルワンダは2016年、古着と同様、中古車にも高関税を課した。これはこの工場でポロやセダンのパサート(Passat)、スポーツタイプ多目的車(SUV)のトラモント(Teramont)など、年間5000台の組み立てを計画しているVWにとって追い風となっている。

 しかし最も安い車種でも価格は約1万5000ドル(約165万円)となっているため、平均年収がわずか740ドル(約8万1500円)のルワンダでは、まだほとんどの人にとって手が届かないのが実情。それでもシェーファー会長は「いくつかの課題があるのは明らかだが、同様に大きなチャンスもある」と意気込みを語った。

 VWは現地のソフトウエア会社、オーサミティー・ラボ( Awesomity Lab)と組んでウーバー(Uber)風の配車サービスに乗り出す予定。新車をタクシーとして時間制で貸し出し、何年か使用した後に中古車として販売する計画だ。(c)AFP