【6月28日 AFP】米下院は27日、不法移民の親子引き離し停止などに向けた移民法改正案の「妥協」案を否決した。ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の優先事項に対処した内容だったが、不法移民対策が不十分だとして与党・共和党の一部が反対に回った。対メキシコ国境の移民危機解決を目指すトランプ大統領にとって打撃となった。

 否決された国境警備・移民改正法(Border Security and Immigration Reform Act)案は、合法的な移民の流入抑制、メキシコ国境の壁建設予算250億ドル(約2兆7500億円)の確保、未成年時に親に連れられ不法入国した、いわゆる「ドリーマー」と呼ばれる若い移民の市民権取得の道などが盛り込まれていた。

 法案はまた、トランプ政権が5月初めに導入した、難民申請希望者を含む不法入国者を例外なく訴追する「ゼロ・トレランス(不寛容)」政策による親子引き離しを終わらせるものでもあった。

 しかし、法案は賛成121・反対301の圧倒的多数で否決された。民主党議員全員が反対票を投じた上、共和党からも数十人が反対した。議員らは今後、内容を絞った法案の成立を探る可能性がある。

 対メキシコ国境での移民親子の引き離しをめぐっては、国内外からの非難に直面したトランプ大統領が先週、停止する大統領令に署名。だが、すでに引き離されている親子については、具体的な規定がない。(c)AFP/Cyril JULIEN