【6月27日 AFP】厳格な管理社会で知られるシンガポールが、伝染病予防策として、規定の予防接種を受けていない外国人訪問者を入国させずに送還する措置を導入する可能性を示唆した。

 人口560万人の都市国家シンガポールは観光客に人気の旅行先で、昨年は1740万人が訪れた。しかし国土が小さいことと、その開放性ゆえに伝染病にぜい弱な面があり、2003年にはSARS(重症急性呼吸器症候群)が大流行した。

 現在は国際的な規定に従い、シンガポールへ渡航する旅行者に課されている予防接種は黄熱ワクチンだけだが、当局は将来的にさらなる予防接種を求める可能性がある。

 26日に保健省が公表した改正法案では、予防接種を受けていない外国人を入国させずに送還する権限を当局に付与しようとしている。

 同省は鳥インフルエンザやエボラ出血熱、中東呼吸器症候群(MERS)といった伝染病からシンガポールを守るためだと説明し、「国際貿易、そして観光の一大ハブとして、公衆衛生に対する脅威を常に警戒することは必要不可欠だ」と述べている。2003年に流行したSARSでは、同国で33人が死亡し、経済的にも大損失を被り、外国人観光客の数は激減した。

 保健省はまた、新たな措置は「深い配慮をもって行使される」と明言し、またシンガポール到着時に体調不良の者を門前払いすることはないと述べている。

 改正法案にはその他にも、伝染病の監視や国内での管理の強化が盛り込まれている。(c)AFP