【6月27日 AFP】22日に行われたサッカーW杯ロシア大会(2018 World Cup)のセルビア戦で、ゴール後にコソボを支持するようなポーズを見せて罰金処分を受けたスイス代表の選手たちのために、コソボとアルバニアが募金を始めている。

 罰金を科されたのは、グラニト・ジャカ(Granit Xhaka)とシェルダン・シャキリ(Xherdan Shaqiri)、そしてシュテファン・リヒトシュタイナー(Stephan Lichtsteiner)の3人。このうち、コソボにルーツを持つジャカとシャキリは、2-1で勝利したセルビア戦で、「双頭のワシ」を手でつくるポーズでゴールを喜んだ。

 双頭のワシはアルバニア国旗に描かれているマークであり、同時にアルバニア人が大多数を占めるコソボの抵抗の象徴ともみなされている。数千人の死者を出した1998年から99年のコソボ紛争の後、セルビアの自治領だったコソボは2008年に独立を宣言したが、セルビアは今もそれを承認しておらず、今回の2人のポーズにも怒りを示していた。

 そして、スタジアム内で政治的なシンボルを示すことを禁止している国際サッカー連盟(FIFA)は、ジャカとシャキリに1万スイス・フラン(約110万円)、リヒトシュタイナーに5000スイス・フラン(約55万円)の罰金を科した。

 これを受けて、アルバニアのエディ・ラマ(Edi Rama)首相は26日、首相いわく「ふざけた」罰金を科されたジャカとシャキリのために銀行口座を開設した。首相はフェイスブック(Facebook)で、「ワシを恐れるな」と名付けた口座は、「2人のスポーツマンへ感謝の意を表す」ためのものだと言い、喜びの中で自然に生まれたポーズが誤った解釈をされたのは遺憾だと話した。

 また、コソボは3選手のためにクラウドファンディングサイト「ゴー・ファンド・ミー(GoFundMe)」で募金ページを開設。24時間で2万3000ドル(約250万円)近くが集まった。

 コソボのバイラム・ハサニ(Bajram Hasani)貿易・産業相も、自身の1か月分の給料に相当する1500ユーロ(約19万円)を送金したことを明かし、「彼らは自分のルーツ、来し方を忘れなかったという、ただそれだけのことで罰を与えられた。ワシのポーズでゴールを祝ったグラニト・ジャカとシェルダン・シャキリがもたらした喜びは、金では買えない」と話している。

 スイスとセルビアはどちらも決勝トーナメント進出の可能性を残しており、27日にそれぞれコスタリカ、ブラジルと対戦する。(c)AFP