【6月26日 CNS】サッカーW杯ロシア大会(2018 World Cup)で燃え上がっているのは、サッカーのスターたちだけではない。中国ではザリガニ鑑定士、Eコマースの配達員、工場の女工……。これらは阿里巴巴(アリババ、Alibaba)の新ビジネスモデルから生まれ出た新しい事物、新しい職業だ。

 オンラインとオフラインを融合させたアリババ系の生鮮スーパー「盒馬(カバ)鮮生(Hemaxiansheng)」の場合、この新ビジネスモデルにより、1万人を超える新たな雇用が創出された。中国商務部の発表によると、中国の電子商取引の就業人口は4250万人に上り、その約87%はアリババ系ビジネスから派生したものという。

■午前2時まで働くザリガニ鑑定士

湖北省(Hubei)潜江市(Qianjiang)のザリガニ加工工場では、W杯開催で受注が激増し、しばしば午前2時頃まで残業する。

この工場で働く曲雲瀟さんは、専任の女性「ザリガニ鑑定士」だ。毎日、ザリガニをむき、試食し、形や色合い、味付け後の食感と辛さをすべて記録する。まず、冷凍ザリガニが崩れていないか状態を見る。加熱後は、ザリガニのはさみや足に欠けがないかを見る。試食の際には匂いを嗅ぎ、山椒の香味と唐辛子の辛味をチェックする。

一人のザリガニ鑑定士が一日に試食する量は平均で1キロ、多い時で2.5キロにもなる。曲さんが1日に100匹のザリガニを食べることは、当たり前となった。「もう仕事以外でザリガニを食べる気はしません」

■1度の注文でビール300本、30分で配達完了!

 6月17日午後7時、W杯のコスタリカとセルビアが対戦する直前、「餓了麼」は上海市(Shanghai)普陀区(Putuo)のある市場にいる20人あまりのサッカーファンから、ビール300本の「緊急オーダー」を受けた。これは今回のW杯の試合開始以来、「餓了麼」が受けた一件あたり最大の注文だった。

 ビール300本は25ケースに相当し、一人で配達するのは難題だ。配達員の呉応兵さん(26)は注文票を見ると、すぐに他の5人の仲間を呼んで商品を引き取り、30分後にはしっかりと配達完了した。

 W杯は観戦するだけでなく、みんなと一緒に楽しむもの。上海では、数万人もの呉応兵さんのような配達員ライダーたちが、午後9時から10時を過ぎても走り回っている。

■記念品と中国の女性工員

 開幕の2か月前、大会組織委員会は開幕式などの大きなイベントで使う2メートルを超える大会マスコットを、ロシア国内では作れないことに気づいた。

 今回の公式マスコットの名前は「ザビワカ(Zabivaka)」。原型はロシア平原のオオカミだ。大会組織委は、2メートルの「ザビワカ」を制作するため、ロシア国内のメーカーと連絡を取ったが、「大きすぎて作れない」という回答だったのだ。

 困った組織委が最後に連絡をした相手は、中国のアリババだった。

 アリババは速やかにデータベースを検索し、適当なメーカーを探し出した。安徽(Anhui)、湖南(Hunan)、広東(Guangdong)各省など10省以上のメーカー約30社と、中国各地で作られた鋼材、皮材料、綿花などの材料を使い、数千人の女性工員たちが作業に関わった。

 女性工員たちは、型を作り、試作をし、量産完了するまで1か月もかからなかった。2メートルを超える高さの大型マスコットのほか、30センチの高さの小型マスコットを100万個作り、W杯に提供しているという。(c)CNS/JCM/AFPBB News