【6月26日 CNS】中国国務院「南水北調(South-North Water Diversion)」工程建設委員会によると、17日の時点で、南水北調中央ルート南端の河南省(Henan)南陽市(Nanyang)の陶岔(Taocha)取水ゲートの取水量が累計で150億立方メートルを超えた。

 この工事により、北京市(Beijing)、天津市(Tianjin)、河北省(Hebei)石家荘市(Shijiazhuang)など周辺の19の大・中都市が恩恵を受け、5310万人の住民がはるか南方から送られてきた「南水」を飲めるようになった。

 南水北調中央ルートでは、送水開始以来のこの3年間で、給水地域の安定給水や水環境、水資源の配置などが大幅に改善され、社会や経済、環境などの面で広く効果が上がっているという。

 北京では、供給される水のうち、「南水」が約73%を占め、一人あたりの平均給水可能量は100立方メートルから150立方メートルに増えた。

 天津では、14行政区の住民が「南水」を飲むことができるようになった。以前は、水源は一つしかなく、河北省のラン河(Luan River)の一本だったが、水源が二つとなることで、給水保証率は大きく改善された。

 河北省では、約400万人が「フッ素水」「アルカリ水」などの硬水から解放された。また、河南省の給水範囲は南陽市、ラク河市(Luohe)、平頂山市(Pingdingshan)など約10都市へと広がった。

 同時に、水質が安定したことにより、地表水の品質が人間の居住に適する環境保護第二類基準を満足するようになり、「水源地から蛇口まで」の水質安全が保障された。

 北京市大興区(Daxing)に住む張秀麗さんは、「ここに8年住んでいるが、以前は水質が悪くて浄水器が不可欠で、頻繁にフィルターを交換していた。去年の10月からは『南水』を飲めるようになり、水道の水を直接飲んでいるので浄水器はもうほとんど使っていない」と言う。

「南水」の供給により、北京、天津、河北などの地域では、約8億立方メートルの地下水が不要となることで、地下水の水位が大幅に回復するなど、環境に対する新たな効果が現れている。(c)CNS/JCM/AFPBB News