【6月22日 AFP】フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は21日、欧州で拡大するナショナリズム(国家主義)と反移民感情を「ハンセン病」になぞらえた。

 欧州移民危機の解決を図る欧州連合(EU)首脳会議を3日後に控え、西部ブルターニュ(Brittany)地方を訪問して海難救助隊と面会するなどしたマクロン大統領は、EUを敵視する風潮に流されないよう仏国民に呼び掛け、次のように述べた。

「最も重い表現を使って言わせてもらう。欧州を憎悪する人は大勢いるが、それは今に始まったことではない。われわれは今、彼ら(ナショナリスト)の台頭を目撃している。ハンセン病のように、欧州の至る所で、二度と現れることはないだろうと思っていた国々でもだ」

 さらに、こうした国々には「友好国や近隣諸国」も含まれ、これらの国は「最悪なことばかりを口にし、われわれもそれに慣れつつある」と付け加えた。

 マクロン大統領は具体的な国名を口にはしなかったが、フランス政府はここ10日ほど、地中海で救助された移民の受け入れを拒否したイタリア政府と舌戦を展開している。移民629人を乗せた救助船「アクエリアス(Aquarius)」がイタリアとマルタから入港を拒否され、スペインに寄港した問題では、欧州における反移民感情の高まりに注目が集まった。

 一方、イタリアのマッテオ・サルビーニ(Matteo Salvini)内相は、「マクロン氏が侮辱をやめて、いつも口にしている寛大さを具体的に実行し、イタリアが近年受け入れてきた数千人もの移民を歓迎すれば、誰にとっても良い結果になるだろう」と反論した。

 極右政党「同盟(The League)」を率いるサルビーニ氏はまた、「われわれはハンセン病にかかったポピュリスト(大衆主義者)かもしれない。だが、私は港を開いた国々から教訓を得た。まず大量の移民を受け入れることだ。話はそれからだ」とも述べた。

 イタリア政府は21日、移民200人以上を乗せて地中海で立ち往生しているドイツのNGO「ミッション・ライフライン(Mission Lifeline)」の移民救助船2隻について、オランダ国旗を「違法に」掲げているとして拿捕(だほ)する方針を表明した。(c)AFP