■HIVとともに生きる

 カロリーナ・デルレアル(Carolina del Real)さん(37)は、7年前に自分がHIV陽性であることを知った。そして今では感染の予防法を人々に教えている。

 デルレアルさんは肺炎にかかって死にかけた後に、ようやく診断を受けた。AFPの取材に「私が検査を受けるべきだとは、誰も思っていなかった。私自身も。病名さえ知らなかった」と話した。

 彼女は自分の経験を語ることにした。「診療所を出てから、自分に起きたことを友人や、そのまた友人たちに話し始めた。話す必要があった。どうか検査を受けて欲しい、誰の身にも起こり得るのだから、と」

 デルレアルさんはチリの保健当局から渡される抗レトロウイルス薬を毎晩のみながら「毎日、すべては普通どおり…でも、自分が弱々しく感じる」と語った。

 若者がかつてのようにHIVやAIDSを恐れなくなっている一方で、ウイルス保持者に対する偏見はチリ社会におおむね定着したままだ。

 デルレアルさんにとって、それは定職を見つけたり、借金をしたり、保険に加入したりすることができなくなったことを意味する。「年を取って独りで死ぬことになったらどうなるのか。37歳の今、発熱しただけで動けなくなるのに、年をとったらどうなってしまうのか」

「HIVが自分の人生に多くの意味を見出す可能性を意味し、自分が見ていた世界が少しましになるとは想像もしなかった。私は自分の病気をチャンスに変えた。けれど、もちろんHIVに感染したくはなかった」 (c)AFP/Paulina ABRAMOVICH