【6月21日 AFP】国際プロサッカー選手協会連盟(FIFPro)は20日、5日前に脳振とうを起こしたモロッコのMFノールディン・アムラバト(Nordin Amrabat)が、同日に行われたポルトガル戦に出場することを許可した決断を批判した。

 イングランド・プレミアリーグのワトフォード(Watford FC)でプレーするアムラバトは15日、0-1で敗れたイランとのグループ初戦で相手DFバヒド・アミリ(Vahid Amiri)と接触して途中交代していたが、この日のポルトガル戦ではヘッドギアを着用して先発出場。前半16分にはヘッドギアをピッチサイドに投げ捨てた。

 イラン戦で初めにアムラバトが倒れた時の対応をめぐっては批判の声が多く上がっている。医師たちは同選手の顔を繰り返し平手打ちした上に、頭の上に水をかけていた。

 2014年に行われたブラジル大会(2014 World Cup)では脳振とうに関わる問題が目立ち、国際サッカー連盟(FIFA)は大会後、選手が頭部を負傷した場合はピッチ上でチェックできるよう、3分間の試合中断を認めるといった新規則を導入した。

 しかし、この日のポルトガル戦で輝きを放ったアムラバトに対しては、こうした新しいガイドラインが使われなかったとFIFProは話しており、「今回の一件は、選手が危険な状態に置かれていることを示す、新たな憂慮すべき事例だ」とした上で、「医療ガイドラインによると、アムラバトの復帰は早すぎた」とコメントした。

「複数の選手が十分な治療を受けられないなど、大きな失敗を犯した前回のW杯から4年が経ったが、サッカー界は脳振とうのマネジメントに関してあまり進歩していない。世界レベルの安全基準が求められているが、そうした声は見落とされてしまっている」 (c)AFP