【6月17日 AFP】(写真追加)地中海で救助され、その受け入れをめぐり欧州で論争を巻き起こしていた移民630人を乗せた船のうちの1隻が17日、スペインに到着し、下船を開始した。先週、救助船「アクエリアス(Aquarius)」はイタリアから入港を拒否された。

 移民630人の一部が乗ったイタリア海軍の艦船「ダッティロ(Dattilo)」は同日午前6時半(日本時間同日午後1時半)前、スペイン東部バレンシア(Valencia)の港に入った。地元当局は、残りの移民も正午までにイタリア海軍の別の艦船「オリオーネ(Orione)」やアクエリアスで到着する見込みだと述べた。

 アフリカ出身者を中心とする移民らには、赤十字(Red Cross)のボランティア約1000人や通訳470人を含む2000人規模が対応する。1500キロの航海は高波と強風のため遠回りを強いられたものの、移民らはスペイン到着で1週間にわたった航海をようやく終えることになる。

 到着に先立ち、港にはカタルーニャ語やアラビア語などで「ようこそ」と書かれた大きな横断幕が掲げられた。芸術家で赤十字ボランティアの男性(51)は、「(ボランティアの)人々は通訳や住居の提供など、さまざまな役割に名乗りを上げている」と語った。

 バレンシア当局の発表によると、到着する移民は成人男性450人と、少なくとも妊婦7人を含む成人女性80人、13歳未満の子ども11人、若者89人。また、国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」によると、移民の出身国は26か国。アフリカ諸国が中心だが、アフガニスタンやバングラデシュ、パキスタンも含まれているという。(c)AFP/Diego URDANETA