【6月15日 AFP】羊が穏やかに草を食べ、子どもたちがうれしそうに笑う――のどかな光景だが、ここは静かな田舎ではない。仏パリ郊外の高層住宅地だ。

 パリ北郊のオーベルビリエ(Aubervilliers)では毎月、都市農業プロジェクトに参加する熱心な羊飼いが、公園の囲いの中で飼育する数十頭の羊を町中で放牧している。

 その目的は2つ。羊たちの健康に良い草を与えることと、殺風景な高層ビルや工場などで知られる地区に、ささやかながらも田舎の平穏を持ち込むことだ。

 都市羊飼い協同組合の共同設立者は「(羊たちは)毎回上機嫌。とても行儀良くしている」「これが住宅地の緊張をほぐしたり、町のストレスを解消したりするのに役立つのを実感できるはず」と語った。

 羊たちは横断歩道をのんびりと渡り、カフェやガソリンスタンドの前を歩き、公共アパートの前などで草を食べる。

 共同設立者によると、都市農業プロジェクトの化学物質を使用しない農法においては、こうした外出が羊たちの健康にとって重要なのだという。(c)AFP