■「段階的増加」

 最近の数十年間では氷量の増加分が減少分を上回っていることが、一部の研究で示唆されていた。

 一方で西南極、特に南極半島(Antarctic Peninsula)は、地球温暖化の影響をはるかに受けやすいことが判明している。この地域では、1995年以降に6500平方キロ以上に及ぶ棚氷が分離して海に流出した。

 今回の研究では、過去25年間に南極大陸から消失した氷の大半は西南極に由来するものであることが明らかになった。

 1992年以降に消失した氷2.7兆トンは、海水面を約8ミリ上昇させた。

 現在の傾向が続くと、デンマーク領グリーンランド(Greenland)の氷床や山岳氷河からの流出水や温暖化に伴う海水の膨張などを抑えて、南極が海面上昇の単一の最大要因となる可能性があることが、今回の研究で分かった。

 最新の研究結果によると、南極の氷の消失速度は、2012年までの20年間は年間約760億トンだったが、2012年以降は平均して年間2190億トンにまで急上昇したという。

 研究チームを率いた英リーズ大学(University of Leeds)のアンドリュー・シェパード(Andrew Shepherd)教授は「この10年の間に、南極からの氷の消失量に段階的増加が生じた」と指摘する。

「南極大陸は現在、過去25年間で最も速いペースで海面上昇を引き起こしている」(c)AFP