■枯らせることは困難

 本来の調査目的は、バオバブがどのようにしてこれほど巨大になるかを解明することだった。

 研究チームはバオバブの幹のさまざまな部位から採取したサンプルを分析するために放射性炭素年代測定法を用いた。調査の結果、バオバブの主幹は単一でなく複数の幹が芯となって生長することが分かった。

 南アフリカ・クルーガー国立公園(Kruger National Park)によると、バオバブは「枯死させるのが非常に困難」だという。

「焼いたり、樹皮をはぎ取ったりしても問題ない。すぐに新たな樹皮が形成され、生長を続ける」と、同国立公園の担当者は述べ、「枯死する場合は、内部から腐敗して突然崩壊し、繊維質の山が残る」と説明した。

 枯れたバオバブの巨木の中でおそらく最も有名なのは、ボツワナ中部にあった「チャップマン」と呼ばれたバオバブだろう。この国定記念物に指定されていた木の幹には英国人探検家デビッド・リビングストン(David Livingstone)がイニシャルを刻んだ跡があった。

 1852年にこの地を訪れた南アフリカの狩猟家ジェームズ・チャップマン(James Chapman)にちなんで命名された樹齢約1400年のこのバオバブは2016年1月7日、6本の幹がみな同時に倒れた。

 今回の観察調査では、最古で最大級のもの以外にも十分に成長したバオバブが多数枯死したことが明らかになっている。ただ研究チームは、枯死の原因は疫病ではないと論文に記しており、パトルット氏も「病気の兆候はみられなかった」と補足している。(c)AFP/Mariëtte Le Roux