【6月12日 AFP】アフリカに広く分布している樹木バオバブの最古および最大級のものの一部が、過去10年の間に、全体または部分的に枯死しているとの研究論文が11日、発表された。枯れたバオバブの中には紀元前の古代ギリシャ時代から生き続けてきた古木も数本あるという。

 樹齢1100~2500年で幹の直径がバスの全長ほどに達するものもあるこれらバオバブの巨木をめぐっては、気候変動の影響を受けたことが考えらえると研究チームは述べている。

 英科学誌「ネイチャー・プランツ(Nature Plants)」に掲載された論文によると「最古級のバオバブ13個体のうちの9個体がこの12年で枯死または少なくともその個体の最も古い部分(幹)が枯れた」という。研究チームはこれを「空前規模の事象」だと表現した。

 論文の共同執筆者で、ルーマニアのバベシュ・ボヨイ大学(Babes-Bolyai University)のエイドリアン・パトルット(Adrian Patrut)氏は「自分たちが生きている間に樹齢1000年級の樹木の枯死がこれほど多く発生するのは衝撃的」と話す。枯れた9本の中には最大級のアフリカバオバブ4本が含まれていた。

 枯死の原因については不明だが、研究チームは「バオバブの巨木の枯死は、特にアフリカ南部に影響を及ぼしている気候条件の大幅な変化に少なくとも部分的に関連している可能性があると推測」している。ルーマニア、南アフリカ、米国の共同研究チームによると「この推測を裏付けたり反証したりするためには」さらに研究を重ねる必要があるという。

 2005年から2017年にかけて行われた研究では、存在が確認されている事実上すべてのアフリカバオバブの古い巨木、計60個体以上を対象とする調査と年代測定を実施した。

 研究チームは幹周り、樹高、幹体積、樹齢などに関するデータを照合する中で、最古で最大級のバオバブの大半が調査期間内に枯死したという「予想外の注視すべき事実」に気が付いた。

 枯死したバオバブはすべてジンバブエ、ナミビア、南ア、ボツワナ、ザンビアなどのアフリカ南部の国々に分布していた。