■「より大きな何か」への糸口

 アイゲンブロード氏によると、今回検出された化合物は隕石(いんせき)に由来するものか、もしくは地球の石炭や黒色頁岩(けつがん)と同類の地層、あるいは何らかの生物に由来するものである可能性があるという。

 化合物の正確な発生源は、いまだに謎のままだ。

「今回検出されたのは、より大きな何かの断片だ」と、アイゲンブロード氏は述べた。

 サンプルの掘削はゲール・クレーター内にあるシャープ山(Mount Sharp)のふもとで実施された。同クレーターには古代の火星の淡水湖が存在していたと考えられている。

「火星にかつて生命が存在していたとすると、ここはその当時生命が生息するのに適した場所だった」と、アイゲンブロード氏は話す。

 キュリオシティーは火星表面から深さ5センチまで掘削して泥岩のサンプルを採取し、搭載している小型分析室で加熱した。

 サイエンス誌の論文によると、フランス製機器による分析の結果「チオフェン、2-および3-メチルチオフェン、メタンチオール、硫化ジメチルなどの、地球の有機物に富む堆積岩に似た複数の有機分子および揮発性有機化合物」が存在することが明らかになったという。