■「EUは米国をいじめている」

 トランプ大統領はG7の他の首脳らに、米国との貿易をより均衡の取れたものにしなければ完全に停止するぞとけん制すると、真っ先にサミットを後にし、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長との歴史的な首脳会談のためにシンガポールに向かった。

 トランプ大統領は出発前の記者会見で「彼らは振り出しに戻って試してみようとしているんじゃないか、違うか?」と述べ、同盟国が報復措置として米製品に関税を課すという脅しを実行するなら、同盟国の製品は米国市場から締め出され得ると警告した。

「欧州連合(EU)は米国をいじめている……彼らもそう認識している」「私がそう言うと彼らは笑みを返してきた。策略はもう終わりだ(You know, it's like the gig is up)」

 欧州当局者によると、トランプ氏はサミットの最終共同コミュニケの草案のWTOとルールに基づいた貿易に関する表現を穏当なものにしようとしてきた。最終的にその表現は残されたが、気候変動に関してG7はG6対1に割れた。

 米国代表は地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」を履行するとの制約への署名を拒否した。トランプ政権はパリ協定に関わりたくないとしている。 

 欧州の首脳たちはこれらの結果に平静を装った。ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は「私たちとしては、ルールに基づいた貿易を守っていくことが重要だ」と述べた。

 G7の次期議長国フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は、仕事はまだ続くと述べた。来年のサミットはフランス南西部ビアリッツ(Biarritz)で開催される。(c)AFP/Michel Comte and Dave Clark