【6月9日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は8日、ナショナルフットボール(NFL)で国歌演奏の際に社会的不平等への抗議として膝をつく選手を招待すると表明し、状況次第で「恩赦」を与える可能性を示唆した。

 選手が国歌演奏時に膝をつくという行為に対し、これまで批判的な発言を繰り返してきたトランプ大統領は、先進7か国(G7)が開かれるカナダに向かう前に「不当に扱われている人々やその友人、もしくはそういう知り合いがいる人々に関して報告してくれと彼らに頼むつもりだ。そして、彼らの訴えが妥当であるか吟味する」と話し、「私や担当者が不公平な扱いであると判断した場合は、彼らに恩赦を与える。そうでない場合は、少なくとも解雇だ」と述べた。

 最近のトランプ大統領はその権限を駆使し、元ヘビー級ボクサーの故ジャック・ジョンソン(Jack Johnson)氏から、保守派の評論家であるディネシュ・ドゥスーザ(Dinesh D'Souza)氏まで、あらゆる人々に恩赦を与えている。

 人種差別や社会的不平等に抗議して、試合開始前の国歌「星条旗(The Star-Spangled Banner)」の演奏中に膝をつく主に黒人選手に対して、トランプ大統領は痛烈な批判を続けている。こうした抗議が行われるようになったのは、元サンフランシスコ・フォーティナイナーズ(San Francisco 49ers)のQBコリン・キャパニック(Colin Kaepernick)が、2016年に武器を持たない黒人数人が警察と対立して死亡した事件に抗議したのが始まりだった。

 NFLは先月、規則を変更して国歌演奏時に起立を義務づけ、違反した場合は罰金を科す方針を打ち出したが、選手が望んだ場合はロッカールームに留まることも可能となっている。

 今季のナショナルフットボール(NFL)でスーパーボウル(Super Bowl)を制したフィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia Eagles)が、ホワイトハウス(White House)訪問にほんの一部の選手しか参加しないと判明したことから、今週に入って招待自体を取り消したトランプ大統領は、国歌演奏時には選手が起立するべきだという自身の信条を改めて強調した。

「特にNFLに限らず、各スポーツリーグにはあらゆる人々がいる。国歌演奏の際に起立しないのは、誇りに欠けているからだ。それは気に入らない。ここは偉大な国であり、国歌には起立するべきだ。国歌が演奏されるときに、ロッカールームにいるということがあってはならない」(c)AFP