【6月7日 AFP】来週実施される米朝首脳会談を世界が待ち受ける中、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長のそっくりさんとして注目を集める男性も、開催地であるシンガポール入りに向けて準備を進めている。

 ハワードX(Howard X)の芸名を持ち、香港に拠点を置くこのそっくりさんは、12日の米朝首脳会談に合わせて行う、もう一つの「首脳会談」に出席する予定だ。

 ここ数か月、ハワードさんは「外遊」にいそしんでおり、平昌冬季五輪ではドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領のそっくりさんと共に姿を現した。

 ハワードさんによれば、2人は「首脳会談」のためにシンガポールのホテルに雇われたという。

 ハワードさんはAFPに対して7日、風刺を通して一般の人々が政治について議論するように促すことが目的だと説明。

 一方でこの新たな仕事について、ハワードさんの家族はとまどいがあるとし、「家族の第一声は『殺されないで』だった」と語った。母親はハワードさんのために生命保険に加入したという。

 香港生まれのハワードさんはオーストラリア育ちで、以前はミュージシャンをなりわいとしていた。

 だが2012年にそっくりさんとしての仕事をするようになって以降、金委員長のものまねがメインの活動になったという。

 ハワードさんは「私はこの顔の恩恵を受けていると言ってもいい」と話す。

「米国の大統領や他国の首相と違って、金正恩は一生トップだ。仕事という観点では、私は非常に長く、またもうかる仕事を得た」

 ハワードさんは現在、興行や映画、コマーシャルに出演することで生活の資を得ており、アジアを拠点とする他のものまね芸人たちの代理人も務めている。

 だが、稼ぎの元になっているにもかかわらず、金正恩氏の独裁体制には全く同意できないという。(c)AFP