【6月6日 AFP】フィリピンの首都マニラのスラム街で、粗末な小屋の間を流れる小川はごみで覆われている。あまりにぎっしり詰まっているので、舗道のように歩けそうに見える。

 だが実際は、ペットボトル、持ち帰り用の容器、レジ袋などが厚い層になって汚水を覆い、悪臭を放っているにすぎない。

 エステロ・デ・マグダレーナ(Estero de Magdalena)は、マニラで最も重要でひどく汚染されているパッシグ(Pasig)川の支流の一つだ。

 マニラ市の職員は、スラム街の住民が川を野外のごみ箱のように使っていることが原因だと、非難している。市はごみが下流に流れ込むのを防ぐため、巨大なろ過装置を設置している。

 パッシグ川に到達したごみは、南シナ海(South China Sea)やフィリピン最大の湖、バエ湖(Laguna de Bay)に流れ込むこともある。

 世界で最もプラスチックごみを排出しているといわれる中国、ベトナム、インドネシアと並び、フィリピンでもプラスチックによる汚染は重大な問題となっている。

 当局は、ごみであふれた川はコレラ、腸チフスのように予防可能な疾患の温床となると指摘する。

 感染症の懸念があるだけではなく、住民は絶えず悪臭に悩まされている。「ごみのためにぐっすり眠ることができない。雨が降ろうと晴れていようと、常に臭う」と、屋台で働くマリリン・エストラーダ・カルデロン(Marlyn Estrada Calderon)さん(35)は、AFPに語った。(c)AFP