■膨大なコスト

 グアンタナモの収容者のために米国の税金から支払われる費用は、年間4億5000万ドル(約490億円)を上回る。

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)のダフネ・エビエタ(Daphne Eviatar)氏はAFPに、米国は「収容者に医療を施すよう国際法で義務付けられている」ため、収容者の高齢化に伴って費用は拡大する一途だと語る。

 収容者の一部についてエビエタ氏は、拷問や紛争、劣悪な生環境などにより、グアンタナモ移送時の健康状態は既に良くなかったと述べ、さらに悪いことに、病気の収容者を米国に移動させて治療することを議会が許可していないことを説明した。

 地元紙マイアミ・ヘラルド(Miami Herald)によると、国防総省が昨年、グアンタナモに送った可動型MRIスキャナーの賃貸料は37万ドル(約4000万円)だった。当初は始動すらしなかったが、後に修理を経て使えるようになった。

 米同時多発攻撃の記憶がいくらか薄れるにつれ、グアンタナモに収容者が存在していることを多くの米国民は忘れかけている。収容者40人中の最大の構成部分を占める26人は、何の罪にも問われていないが、釈放するには危険すぎるとの考えから身柄の拘束が続いているのだ。

 2002年初めの同収容所の設置以降、すでに9人の収容者が死亡している。軍当局によるとその多くは自殺だという。現在の状況を見る限り、今後さらに自殺者が出てもおかしくはないだろう。(c)AFP/Thomas WATKINS