【6月4日 AFP】中国の首都北京にある天安門広場(Tiananmen Square)で軍が民主化運動を武力弾圧した「天安門事件」から、4日で29年を迎えた。これにあわせて米国は、事件の犠牲者数を公表するよう求め、中国が強く反発した。

 マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官は、「罪のない人々の命が奪われた悲劇を忘れない」とする声明を発表。中国共産党は1989年6月4日、天安門広場周辺で行われていた平和的な民主化運動を戦車で鎮圧した。

 中国では、数百人、恐らくはさらに多数が亡くなったとされる同事件について、公の場で議論することは禁じられている。一方、昨年公開された英国の外交機密電報には、1万人以上が死亡したと記されていた。

 ポンペオ氏は、ノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)受賞者で、昨年獄中でがんで死去した反体制派の劉暁波(Liu Xiaobo)氏が残した「6月4日の魂はいまだ安息せず」という言葉を引用し、「わが国は国際社会と一致団結し、事件の死者、非拘束者、行方不明者数の完全な公式統計を公表するよう、中国政府に求める」と記した。

 これに対し中国外務省の華春瑩(Hua Chunying)報道官は定例会見で、「中国政府は1980年代末に発生した政治混乱について、既に明確な結論に至っている」と反論。

 ポンペオ国務長官の声明は「根拠もなく中国政府を非難し、内政に干渉している。中国側は強い不満を抱き、断固反対する」と述べ、米国に対し公式な外交ルートを通じて抗議したことを明らかにした。

 華報道官はさらに、「わが国は米国に対し、偏見を捨て、過ちを正し、無責任な発言を控え、中国への内政干渉をやめるよう求めるとともに、中米関係の悪化を招く行為に及ぶのではなく、関係発展のため努力するよう要請した」と述べた。(c)AFP