【6月15日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が1年前、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」からの離脱を表明した際、米国内では多くの自治体や企業などが、同協定の取り組みを維持すると明言した。フィラデルフィア(Philadelphia)市長もそのうちの一人だ。

 米国で6番目に人口が多いフィラデルフィアのジム・ケニー(Jim Kenney)市長はこれまでに、「フィラデルフィアは地元レベルで、米国がパリ協定で掲げていた目標を維持することに尽力する」とツイッター(Twitter)で述べている。

 以降、フィラデルフィアは市の建物のエネルギー消費を削減し、街灯をLEDライトに交換し、市内の有名な美術館のグリーンエネルギー化に着手した。だが、こうした取り組みは、フィラデルフィアで毎年排出される1800万トンの炭素の前ではあまり効果がない。排出量は減少したものの、市にできることは限られている。

 フィラデルフィアがあるペンシルベニア州は天然ガスが豊富で、家庭の暖房の85%が天然ガスで賄われている。また同市で毎日消費される電力の半分以上は、石油または石炭火力発電所で生産されている。

 米国ではフィラデルフィアを含め、約2700の都市、州、企業が、2015年に採択され190以上の国・地域が参加するパリ協定の目標を維持すると宣言した「ウィー・アー・スティル・イン(We Are Still In)」に参加している。

 ウィー・アー・スティル・インは、二酸化炭素(CO2)の排出量が2017年には過去25年で最低の水準まで低下したことや、また、石炭の使用が減少するとともに太陽光や風力による発電量が増えたなどといった進展を強調している。

 だが、地元ガス企業PGWを所有しているフィラデルフィアは、化石燃料の利用をめぐって混乱している。目指す目標について対立があり、市長はガスを使わない将来を思い描いている一方、PGWはガスが化石燃料の中で最もクリーンで最も汚染が少ないとして、ガスの将来性を主張している。(c)AFP/Ivan Couronne