【6月2日 AFP】今月開幕するサッカー2018年W杯(2018 World Cup)では、開催国ロシアに世界中のファンから注目が集まることになる一方で、同国に与える経済効果は少ないとする専門家の分析結果が出ている。

 米大手格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービス(Moody's Investors Service)の上級副社長でアナリストのクリスティン・リンドウ(Kristin Lindow)氏は、先月31日に発表された報告書に添付されたコメント文で、「大会期間は1か月のみであり、それに伴う経済刺激は1兆3000億ドル(約142兆円)規模のロシア経済に照らし合わせれば乏しいものになる。W杯が広範囲の経済成長に大きく貢献することは期待できない」と分析した。

 今月14日から来月15日まで開催されるW杯は、合計11都市で試合が行われることになっている。報告書では全国レベルでの経済インパクトは「非常に限定的」と予想されているが、もともとの収入が少ないカリーニングラード(Kaliningrad)やモルドビア(Mordovia)などの一部地域では、大きな増収が見込まれるとされている。

 その一方で、遠方の開催都市に関しては、ロシアに継続的な観光利益をもたらすことはあまり期待できないとしており、「経済効果はソチ冬季五輪のときより低くなる可能性もある。開発中のリゾート地であったソチは、W杯の会場となっている多くの地域よりも交通の利便性が高い」と報告された。

 それでも、これらの地域では投資を受けることによってある程度の経済的利益を得られると予想しており、W杯期間中は「食料品店、ホテル、電気通信、そして交通機関などで、一時的に大きな増収が期待できる」としている。主な投資先となるのは建設部門となっているが、出資のほとんどはすでに完了している。(c)AFP