【5月31日 東方新報】昨年3月8日午前7時20分ごろ、中国・広東省(Guangdong)の広東金融学院(Guangdong University of Finance)の劉副教授(52)が、バスに乗車中に突然、倒れ込んだ。運転手の通報でかけつけた救急隊員らが応急処置を施したが、劉副教授は同7時35分ごろに死亡した。警察の調べで、突然死と判断された。

 劉副教授の死は、天河区(Tianhe)の人力資源・社会保障局から就労中に起きたものだと認められなかったため、劉副教授の家族が同局を相手取った裁判に発展している。

 訴えの内容は、大学教授は勤務時間も場所も不確定な要素が多く、事故前夜とバス乗車時も、学生の論文に目を通す作業をしていたため「勤務」に当たるとしている。

 これに対し人力資源・社会保障局は、「劉副教授が乗っていたバスは通常の通勤ルートではなかったことと、事故発生当時、仕事をしていたという証拠がない」と主張している。まだ判決は出ていない。

 劉副教授の家族は事故から約3か月後の6月7日、劉副教授が死亡したのは勤務中だったとする大学側の同意書を広州市(Guangzhou)天河区の人力資源・社会保障局へ提出したが、同局は劉副教授の死亡状況から判断し、就業中の死亡には当たらないと返答している。

■前夜に体調不良、携帯には未送信メッセージ「病院に」

 劉副教授の妻の証言によると、事故の前夜、劉副教授は両手で胸を押さえ、息苦しいと体の不調を訴えていたが、少し休んだ後、引き続き学生の論文の確認作業を始め、午前2時ごろやっと就寝したという。

 また、警察によると、倒れた時に劉副教授が握りしめていた携帯電話には、送信前のメッセージが残っており、「病院に寄ります。朝に予定していた学生の論文の指導は、学校に戻ってから調整します」との内容だった。

 人力資源・社会保障局は、「劉副教授が乗っていたバスは、大学の近くに停まらないため、出勤の途中ではなかったと判断した。また、バスに乗車してからも仕事に関連する作業を行っていた証拠がないことから、勤務中の死亡とは認められない」と主張している。(c)東方新報/AFPBB News