■準備会合を無断欠席

 他方で北朝鮮側は、シンガポールで行われる予定だった米国側との準備会合を無断欠席している。これについてホワイトハウス(White House)のある高官は、「米国側はひたすら待ったが北朝鮮側は姿を現さなかった。北朝鮮側は連絡すらよこさず、われわれに待ちぼうけを食らわせたのだ」

「その溝はシンガポールの首脳会談が行われるまでに、埋まることはないだろう」とナラン氏は語る。

 だがそれは良いことかもしれない。

 米元上級外交官のニコラス・バーンズ(Nicolas Burns)氏は、「もしシンガポールで北朝鮮が真剣に非核化に向け取り組まないならば、低レベルでの交渉を続ける方が良い」と語る。中東和平交渉の元外交官アーロン・デービッド・ミラー(Aaron David Miller)氏も「扉を開いたまま中止になるのが、一番ましな選択肢だろう」と述べた。

 今のところトランプ大統領も金委員長も相手に対する対等な姿勢を変えておらず、双方とも提案を聞く準備があることを示している。

 だが、首脳会談の当面の再設定なく、交渉を継続できるのかは現時点では不明。鍵を握るのは中国とみられており、同国は北朝鮮の同盟国にもかかわらず、米国による北朝鮮への経済制裁を支持する意向を示し、金委員長に対して米政府を脅迫するのではなく、交渉するよう圧力をかけている。(c)AFP/Francesco FONTEMAGGI