【5月25日 AFP】米連邦地方裁判所は24日、アラスカ州の刑務所に対し、断食月「ラマダン(Ramadan)」期間中のイスラム教徒の受刑者に豚肉を使った食事を提供するのを禁止する差し止め命令を出した。全米最大のイスラム人権団体「米イスラム関係評議会(CAIR)」が明らかにした。

 CAIRは22日、アンカレッジ矯正施設(Anchorage Correctional Complex)が「残虐で異常な刑罰」を禁じた合衆国憲法に違反していると連邦地裁に申し立てていた。

 CAIRによるとアラスカ州連邦地裁は、政府の保健指針に沿った適切な食事を提供するよう刑務官らに求める緊急差し止め命令を認めた。

 CAIRは声明で「ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が当選してから、米国でイスラム教徒をはじめとする少数派を標的とした偏見がかつてなく高まっていることをCAIRは報告してきた」と述べた。

 イスラム教徒は現在、イスラム暦で神聖な月とされるラマダンの期間中で、日の出から日没まで飲食を断つ。緯度の高いアラスカ州アンカレッジ(Anchorage)では、約18時間を飲まず食わずで過ごすことになる。

 申し立てによれば、ラマダン中の受刑者に与えられている食事は1日当たり最大1100キロカロリー相当で、米当局が推奨する成人男性の1日の摂取カロリー(約2500キロカロリー)をはるかに下回っている。しかも、イスラム教が禁じている豚肉が食事に含まれているため、実際の摂取カロリーはさらに少なくなっているという。(c)AFP